神奈川本屋・生活綴方

歩道橋の魔術師

呉明益 著/天野健太郎 訳

白水社


 1979年、台北。西門町と台北駅の間、幹線道路にそって立ち並ぶ「中華商場」。物売りが立つ商場の歩道橋には、子供たちに不思議なマジックを披露する「魔術師」がいた──。
 夢と現実のあわいを見ているかのような、知らない土地なのに懐かしく、いつか自分の経験した思い出のように感じるのはなぜだろうか。
 1961年落成以後、70年代多くの人で賑わったという、実在した中華商場が舞台。表題作『歩道橋の魔術師』で、当時の街の賑わい、ネオンの輝き、生活の匂い、その背後に見え隠れする人々の貧しさを鮮やかに描いている。後に続く短編ではその街で育ち、「魔術師」に出会った子供たちが成長し、時代の鮮明な記憶を引きずりながら、その後の人生を淡々と語り出す。「ときに、死ぬまで覚えていることは、目で見たことじゃないからだよ」彼らが見た魔術は、本物だったのか手品だったのか。それともほんとうに魔術師は居たのか? いまを生きる私たちの見たものさえ「見た、はず?」と現実がぐらり揺らぐような感覚を引きずる作品。


書影
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11月1日 ─ 14日本屋・生活綴方

画像。書店の入り口

横浜から東急東横線で各駅停車しか止まらない、妙蓮寺という駅にある本屋です。道を挟んで向かいにある創業70年の町の本屋・石堂書店の姉妹店となります。本屋・生活綴方では主にエッセイ、詩歌俳句、暮しや生活にまつわる本を置いています。本屋の奥にはリソグラフの工房があり、そのまた奥には小上がりがあってラジオや絵のお教室を開いていて、そのまた奥には畑があるという、いろんな顔を持つ本屋です。
本を売るだけではなく、「つくる本屋」として出版活動もおこなっています。


  • 本屋・生活綴方
  • 〒222-0011
  • 神奈川県横浜市港北区菊名1-7-8
  • 営業時間 12:00-19:00 水・木曜休