福岡本のあるところ ajiro

冥王星より遠いところ

黄崇凱 著/明田川聡士 訳

書肆侃侃房


 母を看病する独り身の青年と、妻と娘を持つ小説家の高校教師。青年は夢に高校教師の「俺」の生活を垣間見る。高校教師の小説には青年の記憶と現実の「俺」の過去がせり出す。ふたりの「俺」は、夢と現実と創作世界を行き来しながら、「冥王星よりも遠いところ」へ向かう旅のような孤独を共有し、母やかつての恋人たちとの、あいまいかつ深刻な思い出を断片的に再生していく。
 自分の存在や運命は誰がコントロールしているのだろう。見るものを思索の迷宮へと誘っていく物語は、古く「胡蝶の夢」をはじめ、デイヴィッド・リンチの映画作品や、新海誠「君の名は。」といった現代カルチャーに至るまで多くある。本作は、そういった系譜にありながら、トラウマについて、書くという作業について、尊厳死についてなど、多くの要素を含み、読者それぞれに異なる読みを示唆してくれる。

 「遠いところには、信じることができて心待ちにしているものがある。それが遠くかすかなものであるほど、細かいところで繋がっている可能性はほとんどないけれど。」


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10月15日 ─ 11月中旬本のあるところ ajiro

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福岡・天神の本屋&カフェ「本のあるところ ajiro」です。
運営は、海外文学や短歌の歌集などを刊行している出版社・書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)。本が好きな人たちが集える場所を作りたいとの思いから、2018年10月にオープンしました。
品揃えは海外文学、詩歌、旅、人文が中心。自社の本に限らず、英語以外からの翻訳文芸書や、少部数発行の詩歌の同人誌など、他の書店では手に入りにくい本も重点的に並べています。
カフェ席ではドリンクを提供。書肆侃侃房の本は購入前でもカフェに持ち込むことができ、コーヒーを飲みながらゆっくり読書を楽しめます。読書会やトークイベントも開催しています。


  • 本のあるところ ajiro
  • 〒810-0001
  • 福岡県福岡市中央区天神3-6-8 天神ミツヤマビル1B
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  • 平日 15:00-19:00
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