千葉本屋lighthouse
 幕張支店

来福の家

温又柔

白水社


 「ふつう」の読みかたではないためにほぼ100%読み間違えられる自分の名前が好きだったりする。そして間違いに気づいた相手が恐縮しているのをよそに、こちらはたいてい面白がっている。
 本書に収録されている2作はどちらも、名前がテーマのひとつになっている。国籍同様に、自らのアイデンティティを最も表すものだ。だからだろうか、本書を読むと彼女たちの振る舞いに対して「わかる」と「わからない」がともに同じ強さで迫ってくる。名前なんて関係ないわけではない、国籍なんて関係ないわけではない。いや、やっぱり関係ないかもしれない。でも、それを決めていいのはいつだって自分だ。同様に、「ふつう」になりたい自分と、「ふつう」ではないことを誇りに思う自分。そのどちらもが自然なことで、その時々で選んでいい。
 私たちはひとりひとり違う場所に立ち、同じ景色を見ようとしている。その終わりのない試みを、本書は肯定してくれる。


書影
こちらもおススメ!
複眼人
呉明益 著/小栗山智 訳(KADOKAWA
ポラリスが降り注ぐ夜
李琴峰(筑摩書房)

10月15日 ─ 11月14日本屋lighthouse 
幕張支店

画像。書店前の様子

2019年5月にインフラ0の小屋から始まりましたが、先日文明が開化しインフラ完備の店舗となりました(小屋は本店に昇格し一時休店中)。
所在地は千葉市幕張。JR/京成幕張駅より徒歩6分。毎週月火と第3水曜日がおやすみ。ひとり本屋です。


  • 本屋lighthouse 幕張支店
  • 〒262-0032
  • 千葉県千葉市花見川区幕張町5-465-1-106
  • 営業時間 12:00-19:00 月・火・第3水曜休